大根の材料力学

この間大根を干した写真を載せました.(切干大根,と書きましたが,どうやらこれは割り干し大根というようです.訂正.)

で,私はこれを作ってからずっと気になっていたことがありました.それは,この大根がやたらと反り返っていることです.大根のしっぽの方から包丁を入れたのですが,包丁を入れた瞬間から両側に割けていく感じです.一応バイオメカニクス等をやってる身としては,この大根の残留応力(あるいは初期応力,一応アバウトに説明しておくと,内部で釣り合っているけれども残っている力.内部の歪.お肉とかも切ると切った断面が丸くなってだらっとなるのと同じです.内部に圧縮が残っているのが,切れると外側の肉からの拘束が無くなって広がります)は見逃せません.というか気になってしょうがない.


この残留応力の原因は何なのでしょう.まず大きく分けると可能性として二つあると思います

  1. 収穫後に残留応力が発生した
  2. 大根にはもともと(土の中にあっても)残留応力がある

1.収穫後に発生

収穫後の大根の細胞の乾燥が大根の外周から起こり,それが表面の収縮と内部の圧縮をもたらすことは容易に想像できます.つまり,私の買った大根は古かった,しなびかかっていた,ということです.
激安だったのでこの可能性は大いにあります(ただ,私はあの日大根が安かった理由は,大根の表面に傷がついてしまっているものが大量に入荷されたから,だと踏んでいます.皮むいたら変わらないもんねーだ)


2.収穫前から存在

さて,もうひとつの可能性を考えたのは,私の頭の片隅にあった中学生物の記憶です.確か,植物は形成層というリング状の部位でしか細胞分裂をせず,細胞の大きさを(液胞とかで)大きくする,細胞外物質を強化することで大きくなる,のが基本だったはず.(wikiにあまり詳しく出てないのでちょこっと不安・・)
内側から新しい細胞が生まれて徐々に外側に行きながら大きくなることを考えると,常に内側から外側に向かって押し出すような力が働いているっていうのは自然ではなかろうか.一つの細胞の最大の大きさというのも存在するだろうし,同じ数で外周に進めばアスペクト比が悪くなるのでは?
ただ,残留応力にメリットがない場合それを打ち消すように素早い適応が働きそうでもある.この残留応力に力学的な,あるいは生理学的なメリットってあるだろうか・・・


と考察を始めるとまだまだ考えなければいけないことは多そうなので,とりあえずこの残留応力が収穫の前からあったのか,それとも収穫後に発生したのかを調べようと思う.


方法?大根育てるわけにはいかないので,超 ”新鮮” な大根を手に入れてとりあえず比較しよう.

そこでやってきたのは「かしわで」柏の地産地消をうたう,いつもとっても新鮮な野菜が満載のお店です.


いろんな大根があったけど,葉っぱがモリモリ元気な大根を3本ゲット.生産者が違う,ちょっと見た目の異なるのを3つチョイスしました.


ここでこの間仕入れたちょっとした豆知識.ジャガイモが地下茎,サツマイモは根 が成長したもの,というのは聞いたことがあるかと思います.じゃ,大根は?というと,途中まで茎で,残りが根という混在型なのだそうです.分かれ目は,根に特有の根毛が出る穴?のようなぶつぶつがあるかないか,だそうです.この写真を見ると青首が終わったあたりからぶつぶつとしてて,茎と根の境目があることが分かりますね><
(てことは,ここで切ると道管と師管が入れ替わってるのが見えるんだろうか・・・これは次の課題だゎ)


で,本題の結果.皮をむいて切ってみた.前と同じように干してみたよ!

反り返った〜!!!

ちなみにこの間干したのはだいぶしなびてきました.あと2,3日干したら漬けに入りますよ★


で,考察と結論ですが,いくら新鮮といえど,これだけでは<大根には残留応力がある>と結論付けるのはいささか早急かなと思います.若干そりが小さいようにも見えますし..収穫のタイミングと大根の成長タイミングとも関係してきそうです.これはもう,大根を育てるしかありません?笑.まず円柱の強度とか,残留応力の影響とか勉強しなきゃですね..反らなかったら結論は簡単だったんですが.

イロイロ考察しているように見えて,実は大して下調べとかしてません.すいません.誰か詳しくご存じでしたらご教授願います.


自分への突っ込みとしては,君はどんだけ大根食べるつもりなんだい?それから,そんなに大根を買ったりむいたり干したりしてる暇があったら,お洒落な服でも買いに出かけたらいいと思うよ.いじょ!