The University of Tokyo

日本人の英語 (岩波新書)

日本人の英語 (岩波新書)

この本を読んだ.英語力ないなぁといつも痛感しているが,英語勉強法について調べていたときに誰かが紹介していて興味を持った.英語のネイティブスピーカーの著者が,7年の日本での生活や校正の経験を元に,自ら「日本語で」書いた本.20の短い章で構成されていて,本を読むのが遅い私でも比較的あっさり読み終えることができた(本を読むの苦手でよく途中で断念する・・).

最初1/3は冠詞について,中1/3は前置詞について,最後1/3は時制・接続詞・関係代名詞・より洗練された英語を書く手法について.どれも,自分で英語を発信するときに,悩む・直される項目だと思う.これらのトピックについて,完璧に解決・というわけではもちろんないけれど,今後養っていくべき感覚や気をつけるべき点についての示唆に富んでいるなと思ったので,それぞれの項目について印象深かったことについて備忘録として書いておきたいと思う.

冠詞

冠詞は名詞の「アクセサリー」ではない,冠詞が名詞の「意味的カテゴリー」を決める.著者の云うこの,「意味的カテゴリー」というのは,主には可算なのか,不可算なのかというくくりであると思うのだけれど,私の理解も未だ半ばであるように思われるので知りたい人は読むことをお勧めします.
冠詞の章を通して私に伝わったメッセージは,英語における物の「数」と「所有」に対する意識の高さ.例えば, her cat is 〜 と言ったとき,彼女の猫(1匹)が〜 であるという事はもちろんであるが,「彼女が飼っている猫は1匹しかいない」というメッセージも込められている,という部分など(恥ずかしながら)初めて認識した.複数飼っていたり数が分からない場合は,one of her cats であると.
また,これも「数」に関するトピックであるけれど,「純粋可算性」を犯さないように,「不可算」な名詞が用意されている,と書いてあった. a machine と言えば,一つの機械だけれども,例えばかなり大きな装置,あるいは工場の一部としての「機械」と言いたい,つまり不可算性が生じた時のために,machinery という不可算な名詞が用意されている.English speakerにとって,これから言おうとする物が可算なのか不可算なのか,と区別することが,恐らく無意識に行われる重要なステップであるということが感じられた.この日本語にはない,物のとらえ方を意識することが,冠詞を正しく使う上で重要なんだなと思う.

前置詞

前置詞のトピックで通して強調されていたのは,「一貫した論理」.私の受け取ったイメージでは,前置詞が持つイメージをしっかりととらえることが大事である,という意味だと思う.すべての慣用句を覚えることは数が多く大変であるが,前置詞それぞれが持つイメージというものをしっかりと把握しておけば,慣用句は必ずその「一貫した論理」に基づいて理解することができる,ということだ.
この点については初見ではない(心がけてきたつもり・・・)だけれど,いくつかの前置詞についての新しいイメージを増やすことができて良かったなーと思う.「over と around は回転軸の違い」とか.例文付きの解説がとても分かりやすい.

時制

英語は「時」日本語は「相」を重視する,という見方が分かりやすくて面白かった.「相」というのは,完了の程度,のような意味合い.例え過去のことであっても,「行く前に〜した」のであり,「行った前に〜した」とはならない.未来のことであっても,「行った後に〜する」のであり,「行く後に〜する」のではない.日本語と英語の時制に対する考え方の違いが,逆にEnglish Speaker にどんな間違いを引き起こすかを知ることは,とても勉強になった.また時制に注意して話すモチベーションにもなる.というのは,時制を間違えるということが,「大学行く後にチェックするね」みたいな,ん?,という引っ掛かり,積み重ねれば疲労感,を与えているという意識は大事だと思う.

接続詞

特に,・・・ という文章を,Especially,・・・と訳すのは間違い.そーなのか.簡単には,In particular とすれば良いとのこと.しかしEspeciallyやParticularlyに対する私の感覚は(日本人にありがちな)間違いであったということが分かった.そのほかにも consequently, accordingly, thereby, therefore, thus, hence, then 等の日本語にしたときのイメージと例文が分かりやすいと思った.これらはぜひ使いこなしていきたい(今まで微塵も使えてなかった)単語群.この本,図書館で借りたけど買って手元に置こうかな.


今日のタイトルにした,「The University of Tokyo」というのは,この本の中の1つのトピックとして「The ** of ---」の中に出てきた話.Tokyo University なのか,The University of Tokyo なのか,どういう使い分けで結局どっちが正しいの?というかねてからの疑問が解決した.まず簡単なところからいくと,「The University of Meiji」は間違いで,これだと「明治大学」になってしまう.正しくはMeiji Universityで,これはMeijiという名前の大学であると示している.これと似たように,Tokyo University と言ったら,「東京」という名前の大学,The University of Tokyo と言ったら東京にある(東京を代表するあの)大学というニュアンスらしい.Nihon University が,もし国立であったら,The university of Japan になるかも知れないが,あくまで「日本」という名前の大学であるからNihon University なのだと.じゃぁ例えば九州大学とかはどうなのか?となるが,日本にある大学で,The University of *** の形を正式名称として取っているのは東大だけとのこと.そーなんだー.もう間違いません.


ほかにも関係代名詞の上手い使用によって「洗練された感」を出す,語順が大事だから自然な流れを大切に,等多くのメッセージがあった.全体を通して,英語を母国語とする人の根底にある(日本語と異なる)もののとらえ方や論理が,様々な側面から伝わってきた.
少し新しくなった視点を持って先週の英文校正の赤い部分(めっちゃたくさんだけど)を見直してみようと思う.自分の間違いやすい点が見えてくると思うし,どうして間違ったのか,なぜこう直されたのか,という事をこの本を片手に考えることで,より良い英語表現を身につけられたらなと思う.

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【本日のタスク】

  • ラインスキャン,解像度の異なる様々な図を作成してみた.
  • 過去のデータ見直し(必要な解析の洗い出し)
  • 上記の本を読んだ
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【明日のタスク】

  • N君の研究の引き継ぎ.よりミクロな視点の再勉強
  • 論文に必要な図を出すため新たな解析を.